Shin Takamatsu Architect and Associates Co.,Ltd. 株式会社高松伸建築設計事務所

“ひとつ”だけの建築

ひとりひとりのクライアントはもとより、ひとつひとつの建築が建つことになる時と場所もそれぞれ全く異なっています。当然のことながら、ひとつひとつの建築が生まれるための理由も、その建築が置かれることになる風景も、同じものはふたつとしてありません。しかるに、なぜ、ほとんど区別さえつかない建築が、このように世界を埋めつくしているのでしょう。そんな単純な疑問が、私達の創造の核心を成しており、日々の営為を鼓舞し続けています。設計とは、その時、その場所で、その風景に抱かれながら、なによりもそのクライアントの想いによってこそ見出される解答、誤解を恐れずに言うならば唯一の解答、いわば特殊解を発見する仕事です。人間の存在に一般的な人間存在などという概念があり得ないように、建築に一般解など存在しません。設計という創造行為とは、常に特殊解、即ち唯一の建築という解を導き、これを丹念に鍛え、注意深く実現する仕事なのです。あなたのために、世界でたった“ひとつ”だけ存在する建築。その創造が私達の使命です。

“ふたつ”の拠点

平安京遷都以降、絶えることなく営々とその歴史を紡ぎ続ける、世界に冠たる都市・京都。その歴史都市・京都で、私達もまた、事務所開設以来30数年、馥郁たる時の厚みのただ中で、私達独自の歴史を紡ぎ続けています。これまでに携わったプロジェクトの数は800件を超え、その歩みは、日本建築学会賞をはじめとする数々の受賞や、国際指名設計競技による設計者指名獲得など、様々なかたちで評価されてきました。一方で2000年に、台湾では日本唯一の現地法人としての設計事務所を設立し、全スタッフ現地採用という業務形態を維持しつつ設計活動を展開し、今や台湾全土で高い認知度を獲得するに至っております。さて、建築家・高松伸が京都大学教授としての16年間の責務を全うし、再び高松伸建築設計事務所の代表取締役に就いた今、私達はこの“ふたつ”の拠点に立脚しつつ、さらなる設計活動の地平へと飛躍すべく決意を新たにしています。そう、他ならぬ世界という地平へ。1000年の都から授けられたところの、懐しく、そして今こそ新しい知恵と技術という、私達ならではの構想力と創造力を武器に。

“みっつ”の矢

毛利元就が3人の子に諭したとされる「3本の矢」の言い伝え、即ち、矢は1本では折れてしまうけれど、束ねた3本の矢は決して折れないという故事はあまりにも有名です。さて、私達の組織と活動の理念は、まさしくその「3本の矢」を体現するものです。
“ひとつ”目の矢、もとよりそれはクライアントという矢です。確固たる意志と決意によって研ぎ澄まされた、真っすぐに的を射んとする強靭な矢です。
“ふたつ”目の矢、他でもないそれは、建築家・高松伸という矢です。クライアントが見据える的を射んがために、時に数千枚のスケッチを描くという「手の建築家」です。
当然のことながら、“みっつ”目の矢は高松伸とともに働くスタッフ全てです。高松伸と常にひとつの空間で起居し、高松伸の手による結実を、最新の技術を駆使して建築という実在へと鍛造する、靭性に満ちた想像力と柔軟な機動力を誇るチームという名の矢です。
ところで、元就が3人の子に託そうとした想いは、おそらく、単に息子達の結束を願うということだけにとどまるものではなかったように思います。元就の真意は、みっつの矢をしっかりと束ねれば、如何なる的であろうと射抜くことができるということにあったに相違ありません。「みっつの矢を束ねる」。世界でたったひとつの建築の実現という的を射抜こうとする私達にとって、この言葉ほどふさわしいものはありません。